作曲自体は簡単である

作曲自体は簡単である。
メロディーを考えて、フィーリングにあうコードを当て込めば歌謡曲くらいなら誰でも簡単に作れるからだ。
しかし、そこから厚い壁が待っている。
演奏の技術と、曲にハートをこめる作業だ。

演奏の技術は練習しかない。
才能は一切関係ないことを断言しておく。

もちろん、子供のときから早く始めれば、生まれつき持った音感を利用して多少の上達の早さに違いはあるかもしれない。
しかし、どれだけ始めるのが早かろうが、そして遅かったとしても結局どれだけの質で練習し続けたか、プレイし続けたかしかない。
楽器は正直である。練習した分しか本番で発揮されない。
ジャズなどの即興はその最たるものだ。
黒人ミュージシャンは、鬼のような練習量と上質なセッションを自然と練りこんでこなしているため、自ずと即興ができてしまうのだ。これは才能ではない。文化がなした業である。

成長にもおおまかには早熟型と大器晩成型に分かれるが、どうしても技術の伸びに差がでてしまって、自分と誰かを比べて劣等感に苛まれることがあるかもしれない。特に人生経験の少ない学生時代はそういうフィーリングがもろに出て、つまらなくなってあきらめてしまうこともある。むしろそれをバネにして大化けすることもできる。

かくなる私はクラリネットを小学生のときから吹いている。所属したクラブやバンドではその才能をうらやましがられたものである。でも今思えばその才能が人間関係をギクシャクさせたり、音楽に対する傲慢さを生んでしまったようにも思う。